食べ物をもらうとがんばる動物の話をいくつもしてきました。ブタでさえも、と言っては失礼ですが、ブレーランドという人が、ブタにコインを子豚の貯金箱に入れさせる実験をしています。少し悪趣味ですが、ブタがコインを子豚の貯金箱に入れるとえさをもらえる実験道具を用意しました。すると、ブタはびっくりするほど早くこの仕掛けを覚えて貯金箱にコインを入れる行動を繰り返したそうです。

 では、食べ物がないと行動は起こらないのでしょうか。

 バトラーという人はアカゲザルの行動を研究しようと、サルをガラスのある箱に入れて観察をしていましたが、あるとき、観察者がサルを見ている時間よりも、サルが観察者を見ている時間の方が長いことに気がつきました。サルも持つ好奇心の強さが分かります。

 ハーローという人はサルにパズルを与えてみました。組み立てパズルです。えさをあたえることはしませんでしたが、サルたちは熱心にパズルを解きました。このように、サルはえさに関係なく、自分の興味のある物についてはずいぶん熱心に取り組む姿勢をもともと持っているらしいのです。

 ちょっと話をすすめてしまいますが、ではパズルのご褒美に、えさをあげるようにするとどうなったと思いますか?え、「かたっぱしからパズルを解く」?ところがちがうんです。

 えさを与えるとどうなったか、ハーローはこんなふうに書いています。

 「自分でものをいじるときには喜びを感じ学んだ行動も、えさが与えられるとみられなくなってしまった。誤りが非常に増えたし、前ほど仕掛けをうまくいじり、パズルを解こうとする行動も見られなくなった」

 この結果を聞いてどう思います?次回は同じような話を、サルではなくて、人間の話でしたいと思います。

参考文献:H.F.ハーロー、C.メイヤーズ『ヒューマンモデル』1985 黎明書房


HOME MAIL


第20の扉 「食べ物をもらわなくともがんばる動物 サルのパズル」