困った人があなたの回りにいたときに、あなたはどうしますか?助けてあげますか、それとも見ぬふりをしますか?
面白い実験をした人がいます。ビブ・ラタネ、ジョン・ダーリーという人たちです。
この人たちは、何人もの人を使って大がかりな実験をしました。どういう実験かというと、ある人に部屋に入って作業をしてもらいます。そして、通風口から煙を流し込むんです。どっきりカメラみたいですね。作業していた人は、もちろん、部屋を出て、「何か変ですよ」という人が多かったのですが(75%)、これは当たり前ですよね。
ところが、今度は3人の人に同じ部屋に入ってもらい、そのうちの2名はさくら、すなわち「仕掛け人」にするのです。この「仕掛け人」は、煙が入ってきても、こんなのたいしたことない、というそぶりをしながら作業を続けるのです。するとどうなると思いますか。
なんと、ほとんどの人が、部屋の外の人に声をかけるようなことなく、作業を続けたのです(10%)。本当の火事だったら大変ですよね。
2人は、「人助け」について、これと同じような実験をしています。
実験者にある部屋に入ってもらうのですが、この部屋はアコーディオンカーテンで2つの部屋に区切られていて互いの様子は分からないようになっています。もちろん、アコーディオンカーテンですから、開ければ見えますけどね。実験者にはこの2つの部屋の1つに入ってもらい、作業をしてもらいます。でも、その作業が進んだところで、もう一つの部屋ではこんな声の入ったテープを流すのです。
「痛い!あ、痛い!あら、私の足!だめだわ、動かせない!」
女性がけがをした様子ですね。1分くらい流れて足を引きずって部屋を出て行く様子の音声が流されるのです。
さて、どうなったか。
実験を受けている人が一人のときは、70%の人が、カーテンを開けて様子を見たり、廊下から声をかけたりするなどの行動を起こしました。そして、再び先ほどの実験と同じように、実験者を2人の無関心なさくらと一緒に部屋で作業をさせます。さて、テープを流して行動を起こした人はがどのくらいいたかと言うと...わずか6%だったそうです。びっくりした?
これはアメリカでの実験ですから、日本人ではどうだか分かりません。でも、三人いれば文殊の知恵ではないけれど、人数が多ければ正しい判断ができるかというと、そんなことはないのですね。自分の判断をきちんとしなければならない、そんな実験ではありませんか。
★実験した人/出典:ビブ・ラタネ, ジョン・ダーリー『冷淡な傍観者』竹村健一,杉崎和子訳1974
ブレーン出版
☆参考にした本/ローレン・スレイター『心は実験できるか』岩坂彰訳2005
紀伊國屋書店
第16の扉 「あなたは行動できるか? 三人寄っても...。」